こんばんは、丸屋家具店主の丸山です。
若い頃に、たぶん本から仕入れた話です。
日本がまだ貧しかった頃のお話しです。
一家の主が婚礼の宴席、お葬式の直来(なおらい)・お斎(おとき)などに出席したとします。
その時、出席したご主人は、出された料理に箸をつけなかったそうです。
正確に言うと、汁物には手をつけ、それをつまみにひたすらお酒を飲んだそうです。
なぜ?
手をつけなかった料理は、折に詰めて家に持ち帰ったのです。
家には、滅多にお目にかかれないご馳走を待ちわびる奥さんと子供がいたのです。
喜び、悲しみを共にする意味合いもあったと思われます。
私が小さかった頃、
親父が持ち帰った料理について、母が言った言葉が記憶の片隅にあります。
「この卵焼きは本物だ」
「!」
偽物の卵焼きってどんなんだろう?
それ以来、疑問が解消していません。
でも、こんな記憶がある以上、
我が家でも、親父は同じように料理を家に持ち帰っていたんだろうと思います。
貧しい方が家族は幸せ・・・そんな気もするお話しです。
高度経済成長に伴い、いつの間にか消えてしまった習わしと思っていましたが、
年を食ってから、実は場所によっては、立派な習慣として残っていることを知りました。
昨日、そんな地方のお葬式に出席いたしました。
丸屋家具がとてもお世話になった方のお葬式でした。
あらためて、お礼を申し上げると共に、ご遺徳を偲び、哀悼の意を表します。
ありがとうございました。